セルゲル法とは
セルゲル法とはディスコジェル(*出典1)という医療機器を使った治療法です。なぜ医療機器なのかというと金属を体内に埋め込む治療だからです。ディスコジェルの主成分はエチルアルコールと造影剤として使用されるタングステン(金属粉末)です。
ディスコジェルは日本国内では未承認の医療機器になるので、医師が個人輸入で使用しています。また名称が定まっておらずPIDD法(経皮的椎間板インプラント減圧術)、PIDT法(経皮的椎間板インプラント治療)、セルゲル法など各々の名称で治療されており、日本では2018年より治療が開始されています。
ディスコジェルは水に触れると水を吸収します。触れた感触は水を含んだティッシュペーパーのようです。
治療方法
局所麻酔下で椎間板内にディスコジェルを挿入します。
椎間板内の水分を吸収して圧力を下げます。
※コップの中の水をティッシュペーパーで吸収して、水の容量を減らすイメージです。
椎間板内には異物であるタングステン(金属粉末)が残ることによって椎間板容量は増えて見えることがあります。
効果・効能
効果
椎間板ヘルニアに対して有効です。
椎間板内にディスコジェルを投与することで椎間板の中の圧力を下げ、ヘルニアによる腰痛・足の痛み等の症状の改善が期待されます。
ディスコジェルにおいて椎間板容量が増えるという報告がありますが、タングステン(金属粉末)が半永久的に椎間板に残ることが作用している可能性が示唆されます。
治療条件
椎間板ヘルニアによる疼痛(腰痛、坐骨神経痛など)があり、4~6週間の保存的治療をしても改善がなく、椎間板の容量が2/3以上残っている場合に限る。
禁忌
絶対的禁忌
- 遊離した椎間板片
- 分節不安定性(脊椎すべり症)
- 神経孔または脊柱管の狭窄
- 無症候性の椎間板膨隆
- 未治療の感染症および椎間板炎
- 妊娠
相対的禁忌
- 出血性素因(手術前に矯正する必要がある)
- 抗凝固療法(手術前に中断する必要がある)
- 椎間板の高さが2/3以上減少した重度の椎間板変性疾患
- 同じレベルで椎間板手術の履歴がある
参考動画
フランスでDISCOGEL®(ディスコジェル)を取り入れた低侵襲の腰痛治療に従事している第一人者のコールマン医師の解説動画です。動画内(1:17~)でコールマン医師は「左の患者は明らかに椎間板ヘルニアがあり、広範囲脊柱管狭窄症も合併している場合、DISCOGEL®は効果がないので外科的手術が適応となります。右の患者も同様で、椎間板ヘルニアと強い不安定性(すべり症)が見られるため手術が必要であり、DISCOGEL®の適応ではありません。」と述べています。
※椎間板機能を失ったり、悪化するため禁忌とされています。
※海外の医療機関ではすべり症・脊柱管狭窄症は禁忌とされています。
セルゲル法の
代替治療
- PLDD法
- (経皮的椎間板レーザー減圧術)
- ヘルニコア
- (椎間板内酵素注入療法)
治療方法比較
セルゲル法(フランス) PIDT法・PIDD法 |
PLDD法(アメリカ) | ヘルニコア(日本) | |
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治療時間 | 30~40分程 | 15~20分程 | 30~40分程 |
入院期間 | 日帰り治療 | 日帰り治療 | 半日~1日 |
保険適応 | 自由診療(1箇所:750,000円~1,200,000円) | 自由診療(1箇所:280,000円~1,000,000円) | 保険診療 |
椎間板の修復・再生効果 | 無し | 無し | 無し |
体内残留物 | 有り:金属 | 無し | 無し |
アレルギー | 金属・アルコール | 無し | 無し |